米アカデミー賞の外国映画賞を受賞

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このたび、米アカデミー賞の外国映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』を観た。



第二次世界大戦末期に、ナチス・ドイツが

イギリスの経済混乱を狙って仕掛けた

史上最大規模の贋札製造「ベルンハルト作戦」を

その紙幣贋造に携わった囚人の視点から描いている。

いわゆる強制収容所ものでありながら

紙幣贋造という新たな切り口をもつことで

異質の戦争ドラマに仕上がっている。

こういう、使い古された題材に新しいアプローチを試みている作品は

もう、それだけで好感が持てる。



今回の米アカデミー賞は、

『ノーカントリー』やら『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』やら

『つぐない』やら『フィクサー』やら

興味深い作品がずらりと並んでいて、

今から公開が待ち遠しいのだけれど、

この『ヒトラーの贋札』もやはり良い作品であった。



とは言え、事前に予備知識を仕込んでから観たせいか、

想像を超えるインパクトがあったかと言うと、実はそうでもない。

実話をもとにした作品だから仕方がないとも言えるけれど、

劇映画としては、わりと淡々としており、描写にケレン味が欠ける。

もちろん、だからこそリアリティを感じるのだけれど・・・。



この映画の登場人物たちは、収容所に収監されながらも

贋札づくりに携わっているおかげで他の囚人よりは優遇されており、

映画の中では、彼ら以外の囚人についてはあまり触れられないため

いわゆる強制収容所ものにありがちなガス室などは描かれない。

それがこの映画の独自性であり、魅力でもあるのだけれど、

反面、淡白な描写の一因にもなっているように思う。

ナチの残虐性が観念的にしか伝わってこないと言うか・・・。

それでも、トイレでの屈辱に耐えるシーンは胸に迫ってきたし、

「壁の向こうで繰り広げられている地獄」を

音だけで描写する場面は見事だなと感じた。

対比するものとして、ピンポンを用意したのも良かった。



天才贋作者サロモン・ソロヴィッチと

印刷技師アドルフ・ブルガーの対比構造が素晴らしい。

贋札をつくらなければ殺される、という状況下で

あくまでも自分と工房の人間たちの命を優先して贋札づくりを厭わないサロモンと

ナチに協力することは結局、他のユダヤ人の命を奪うことにつながると

贋札づくりを拒むブルガー。

どちらの意見もわかるので、対立に緊迫感が生まれる。

「真実を刷るのが印刷だ」というブルガーの台詞には

以前に印刷会社に勤めていた僕としては

「うおお、カッコイイ」と唸らずにいられなかったが、

まあ、実際はそんなにカッコイイものではない(笑)



ヘルツォーク親衛隊少佐の役まわりも良かった。

悪役なのか味方なのかビミョーな感じの立ち位置が良い。



最近は、"戦争"を直接的に描かずに

"戦争の悲惨さ"を訴える作品が増えているように思う。

この映画もそうだ。

こういう作品を観ると、自分ならどういうアプローチで戦争に迫るか、を

ついつい考えてしまう。

実はずっと昔から、書いてみたい戦争ものがあるのだけれど、

資料集めにまったく手がついていない。

あのアイディアを形にできる日は来るのだろうか・・・(^^;;




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このページは、scottが2008年3月24日 11:06に書いたブログ記事です。

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