| :53 ギョーザ事件を別の切り口から眺めてみよう。 バートランド・ラッセルの『西洋哲学史 3 近代哲学』 〔全3冊、市井三郎訳、みすず書房、1970年〕の635ページに、興味深い一節がある。 ..................... ロックあるいはヒュームにおいては、多くの諸事実をひろく検討して、比較的控え目な結論を引き出しているに反して、ライプニッツにおいては、論理的原理の一つのピンの先端に、巨大な演繹的大建築が逆ピラミッドのように構築されているのである。ライプニッツにおいては、もしその原理が完全に真であり、さまざまな演繹がまったく妥当なものであるとすれば、すべてよしというわけだ。しかしその構築物は不安定であり、どこかにちょっとした欠陥でもあれば、その全体が瓦解してしまうのである。それに反してロックやヒュームにおいては、ピラミッドの基底は観察された事実という堅固な大地の上にあり、そのピラミッドは下方ではなく上方に向かって尖っている。したがって平衡はよくとれて安定し、ここかしこに欠陥があるとしても、全体が災厄をこうむることなく改修しうるのである。 ..................... 言うまでもなく、逆ピラミッドは中国側の見解、ピラミッドは日本側の見解である。論理的原理の出発点には「食糧問題における無謬性」という公理が据えられ、袋の外側から農薬が浸透したという主張、禁止農薬を所持していた日本人記者の拘束など、日本側に罪をかぶせるための演繹が大規模に展開されようとしている。「一切の歴史は階級闘争の歴史」なる公理を出発点とする共産主義を未だに捨てていない中国の体質にもよく合致している。 ナチス・ドイツのヒトラーも『我が闘争』の中で、プログラマティカー(綱領家)の重要性を説いている。彼の国家社会主義と人種理論もまた「反ユダヤ主義」という公理から出発している。だが「階級闘争史観」や「反ユダヤ主義」といった事実と合致しない公理を基礎とする逆ピラミッドは、早晩崩壊する運命にある。旧ソ連しかり、ナチス・ドイツしかり。 中国は相当に経済を自由化したが、全体主義的手法を放棄することは不可能なのであろう。日本は自分たちのピラミッドを築き上げることに専念し、隣の大国の逆ピラミッドが崩壊する有様を見物していればいい。 .................................................................................................................. ギョーザ事件の中国側見解、泉国家公安委員長「理解しがたい」 (読売新聞 - 02月29日 11:33) 泉国家公安委員長は29日の閣議後記者会見で、中国公安省が中国製冷凍ギョーザによる中毒事件をめぐって、日本側の捜査結果と正反対の見解を示したことについて、「予期せぬ出来事だった。問題解決にはプラスにならない」と述べ、中国側の対応を批判した。 泉公安委員長は「信頼関係の上で情報交換してきただけに理解しがたい」などと不快感を示し、改めて、過去に中国国内で発生した有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を使った事件の捜査資料などを提供するよう中国側に呼びかけた。 警察庁が中国側に渡した鑑定結果などの詳しいデータについては「中国側も検証すべき点があるならすればいい」と話し、「科学的に事実に基づいて事件を解明するのが警察の立場。政治的な配慮がされるべきではない」と強調した。 ■ギョーザ事件の中国側見解、泉国家公安委員長「理解しがたい」 (読売新聞 - 02月29日 11:33) 0 |