| :16 明治8年、家族と共に一人の少女が太平洋を渡って来日した。名前をクララと言う。父ウイリアム・ホイットニーはニュージャージー州ニューワーク出身で、明治政府の招聘により、教育機関の設立を目的として来日した。 クララは勝海舟の寵愛を受け、後に勝の息子、梅太郎と結婚。滞在期間は25年の長きに渡る。 幕末から明治にかけて日本は近代国家に生まれ変わる陣痛期を迎えている。その明治を目撃した14歳の少女の視点が興味深い。勝海舟、福沢諭吉、森有礼(初代文部大臣)、津田梅子(津田塾大学)、ジェームスへボン(ヘボン式ローマ字の創始者)ら、当時の日本を動かした人々との交流が生き生きと描かれている。 ワタシは女性の日記を読むのが好きだ。それは女性が好きだからだ。魅力的な女性の部屋を覗き見るのと同様、小さな興奮を覚える。根はストーカーと変わりがない。オオタスセリの「ストーカーと呼ばないで」に共鳴する所以だ。可憐な女の子が意外に大胆であったリして驚かされる。天真爛漫、カラフルな表現が目に付く。 大学紛争華やかりし頃を活写した「二十歳の原点」は高野悦子という美しい学生の日記だった。ナチスから逃れて暮らした日々を克明に描いた「アンネの日記」は世界の注目を集めた。 クララが接した福沢諭吉の人物評が面白い。 日本の現状を憂い、新しい国の形を語る諭吉の情熱をクララは正確に受け止めている。壮大な知性を感じさせる一方、普段の会話は英語と日本語をミックスしたもので、とても聞き取りにくいとクララはこぼす。 ここにその箇所を転記し、ご紹介します。 Mr. Fukuzawa has a comical way of speaking, using English and Japanese in the utmost confusion, so that it is difficult to understand what he really means. For example, speaking of the Governor: "Mr. Kuriyama is honto ni kind man, keredomo he is taiso busy kono setsu, yes?" 一万円札が少しだけ身近に感じた。 |