| :57 またもや読んでた電車の中で泣きました。 ナチスが第二次大戦中、英国をインフレに陥れるために偽ポンド札をつくったそうで。 その偽札づくりの顛末を描いたノンフィクション「ヒトラーマネー」を読んで泣きました。 リーダーのSS将校、クルーガーが戦後、潜水艇にのって湖の中に沈む膨大な偽ポンド札を見てつぶやいた一言。 その一言に、戦争に巻き込まれ、翻弄され、命を賭けざるを得なかった男の人生を感じて、泣きました。 いえね、やっぱ、戦争ってすべてが愚かなんですよ。 日独伊が真っ黒で、英米仏が真っ白なんじゃない。 要は負ける戦争をしちゃいかんわけで。 ドイツ軍がポーランドの非戦闘員を殺害し、日本兵が南京で大勢の市民を犯したように、ロシア兵はドイツ侵入時にレイプしまくり、米国は原爆を市民の生活の場に落としたわけです。 あえて言えば犠牲者は一般市民で、為政者や国家が黒い。 いや、そうとも言い切れないな。 そんなに明確に、「正しい」「悪い」の境界線って明確じゃない。 冷徹なヒムラーの命を受けて、ポンドやドルの偽札づくりを指揮したクルーガー。 クルーガーが収容所の中から選び出したユダヤ人らの偽札づくり部隊。 彼らの行動がいいわけない。 偽札づくりはいかがわしく邪で愚かしい。んなことわかってます。 でも、戦争という巨大な暴力のなかで、命を奪われかけた市民が抗うことはできないでしょ。 無闇矢鱈に機関銃を撃ちまくる日本兵を捕らえた米軍兵が、砂浜に逃した日本兵を狙い撃つゲームに興じる。 機関銃を撃ちまくる日本兵が悪いのか。撃ちまくられたことへの復讐としてゲームのように人を殺す米軍兵が悪いのか。 んなこと、判断できないなあ、僕には。 そして、その大きな渦の中で、良い、悪いではなく、ただ生きた、必死になって生き残った男達の生業。 クルーガーとユダヤ人たちの触れ合いが描かれているんです、この本には。 プロも見分けられないほど精巧な偽札をつくる過程もエキサイティング。 その通貨が、ドイツ崩壊後も欧州大陸を闊歩し、ポンドの信用を落としたって事実にも驚かされます。 IMFの決済通貨となり、マーシャルプランでばらまかれたドルが戦後、基軸通貨になったってだけでなく、偽札によるポンドの価値下落も、ドルの地位向上に一役買ったわけで。 そして、そんな大きな愚行に打ち込まざるを得なかったクルーガーの、湖底に沈む偽札の束を見たときに洩らした一言。 ほんと、泣けました。 |